学生の手で創出「学生食堂循環サイクル」
環境省「令和5年度 食品廃棄ゼロエリア創出モデル事業等」採択事業

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本事業は環境省「令和5年度食品廃棄ゼロエリア創出の推進モデル事業等」にて採択された事業です。
昨年度実施した「AINO TOWN食品廃棄ゼロエリア創出プロジェクト」を継承しつつ、学生食堂から出た食べ残しなどの食品廃棄物を由来する液体肥料を用いて水耕栽培を行い、収穫した野菜を学生食堂にて提供しています。
また、水耕栽培装置は食堂内に設置し、学生・生徒、教職員への循環の見える化を図ることに加え、学生ボランティアが各取組にも携わることで、学生が自身の手で循環サイクルを創出、持続可能性を体験することを目指しています。

食品ロス削減に向けた具体の取り組み(継続中)

  1. 食品ロスに関するアンケートの実施(食品ロスについて問うことで意識付ける)
  2. 食品ロス削減啓発冊子の配布
  3. 食品ロス削減啓発パネルの設置(デザイン作成に学生・生徒を携わらせる)
  4. フードドライブ、フードパントリー活動
  5. 学内連携による食事準備量の最適化【食べ残し・調理くずの発生抑制】
  6. 食べ切れるごはん量の設定(小盛、普通、大盛)【食べ残しの発生抑制】
  7. メニューの見本を現物から写真に変更
  8. 残されがちなトマト、グリーンリーフといった野菜の栄養をお知らせするポスターの作成
  9. 生ごみ処理機の活用【食品廃棄物の焼却・埋立をゼロに】
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学生が考えた啓発パネル

  • 学生が考えた啓発パネル

学校法人藍野大学の新たな取り組み「活かす」

環境省に採択された「令和5年度 食品廃棄ゼロエリア創出モデル事業等」の一環

事業名:学生の手で創出「学生食堂循環サイクル」

学生の手で創出「学生食堂循環サイクル」図

参考.生ごみ処理機とやさいコバコの1ヶ月当りCO2排出量

  1. 生ごみ処理機ゴミサー

    - 生ごみ処理機の通常電気使用量は0.750kW
    - 年間電気使用量は、673.84時間/年×0.750kW=505.38kWh/年
    - 基礎排出係数は、0.000360t-CO2/kWh
    - よって、505.38kWh/年×0.000360t-CO2/kWh÷12=0.0152t-CO2/月

  2. やさいコバコ(水耕栽培装置)

    - 1日当りのLED照明 0.023kW/時間×16時間/日=2.944kWh/日
    - 1日当りのモーター稼働 0.125kW/時間×24時間/日=3.000kWh/日
    - よって(2.944+3.000)kWh/日×300日=1,783.2kWh/年
    - 基礎排出係数は、0.000360t-CO2/kWh
    - よって、1,783.2kWh/年×0.000360t-CO2/kW÷12=0.0535t-CO2/月

※基礎排出係数は以下を参考にした
 関西電力株式会社「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく
 当社のCO2排出係数(2022 年度実績)の公表について」2024年1月15日

https://www.kepco.co.jp/corporate/notice/notice_pdf/20240115_1.pdf

本年度事業の様子と成果

1)食品廃棄物由来の液体肥料を活用した水耕栽培に取り組む様子

①種植え(播種)

  • ①種植え(播種)
  • ①種植え(播種)

②仮定植

  • ②仮定植
  • ②仮定植
  • ③定植

    ③定植
  • ④定植から1週間

    ④定植から1週間
  • ⑤定植から2週間

    ⑤定植から2週間
  • ⑥定植から3週間

    ⑥定植から3週間
  • ⑦収穫

    ⑦収穫
  • ⑧学生食堂への提供(還元)

    ⑧学生食堂への提供(還元)
  • ⑨育てた野菜を使った菜園ピザを試食

    ⑨育てた野菜を使った菜園ピザを試食

⑩学生食堂への野菜提供量(還元量)

  • 第1回目収穫(8月8日)

    • サニーレタス 32株
    • フリルレタス 12株
    • バジル 4株

    第2回目収穫(9月25日)

    • サニーレタス 18株
    • 水菜 18株
    • バジル 10株
    • 三つ葉 2株

    第3回目収穫(12月1日)

    • サニーレタス 8株
    • かぶ 8株
    • 水菜 10株
    • バジル 3株
    • 春菊 1株
    • ラディッシュ 6株
    • ねぎ 6株
    • ミニ白菜 6株
    • じゃがいも 1株(6個)

    講義「環境と生活」受講者も参加

    第4回目収穫(3月4日)

    • ルッコラ 11株
    • にんにく 6株
    • はつか大根 5株
    • サニーレタス 8株
    • 水菜 9株
    • ミニ白菜 5株
    • 小松菜 4株
  • ⑩学生食堂への野菜提供量(還元量)

    ⑩学生食堂への野菜提供量(還元量)

    ⑩学生食堂への野菜提供量(還元量)

  • 収穫した野菜を使ったサラダ(学食メニュー)

    収穫した野菜を使ったサラダ(学食メニュー)

2)取り組みの見える化

①学生の手で創出「学生食堂循環サイクル」パネルの作成、校内に掲示

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②学生ボランティアを募集、学生食堂内に設置した水耕栽培を共同管理

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  • 学生が各取組に携わることで、学生が自身の手で循環サイクルを創出・持続可能性を体験することを目指すために、本年度より学生ボランティアを募っている。

③食品ロス削減に向けた取り組みと学生食堂から出た食べ残し等を掲載したポスター
(学生食堂の食事受け取りの導線上に掲示)

食品ロス削減に向けた取り組みと学生食堂から出た食べ残し等を掲載したポスター(学生食堂の食事受け取りの導線上に掲示)

ポスターの内容やデザイン考案は学生ボランティアが担っています。

【参考】これまで作成したポスター

  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター
  • 【参考】これまで作成したポスター

④食品廃棄物由来の液体肥料を活用した水耕栽培の情報発信

・学生・生徒へのSlackでの発信(キャンパス問わず発信)

・学生・生徒へのSlackでの発信(キャンパス問わず発信)

・ホームページでの発信

・ホームページでの発信

⑤その他

  • 食品ロス事情や昨年度の学生食堂から出た食べ残し量、食品ロス削減に向けた取組実績をパネルで紹介(学生食堂内に設置)食品ロス事情や昨年度の学生食堂から出た食べ残し量、食品ロス削減に向けた取組実績をパネルで紹介(学生食堂内に設置)
  • 食券を買う前に「食べ切れる量」を考えてもらう取り組み食券を買う前に「食べ切れる量」を考えてもらう取り組み

3)食べ残し等の推移

食品廃棄物の発生量[g/食]

参考.昨年度からの食べ残し等の推移食品廃棄物の発生量[g/食]

参考.昨年度との比較2022年度実績値に対する2023年度実績値の変化率

考察

  • 食品ロスの発生量としては、昨年度実現した低水準を概ね継続できた。
  • 昨年度からの更なる削減としては、
    「定食の食べ残し」については、昨年度よりも増加している傾向にあった。
    詳細な理由はわからないが、発生量が少ないために計測誤差の影響もあると考えられる。
    2023年3月は発生量が大きく増加しているが、休暇中であることから学生食堂の利用者が少ないため、特定の者がたくさん食事を残し、一定食あたりの食べ残し量を引き上げていることが推測される。
    ただし、昨年度の勢いは衰えているとも言え、啓発方法に工夫が必要とも考えられる。
  • 調理場から出る調理くず(その他の食品廃棄物)は減少しており、提供者側の努力が見られる。

4)ごはん量指定の推移

  • 提供総数に対するごはん量別の割合
  • 考察
    食品ロス削減に関するアンケートの実施の前後に依らず、「小盛」が2割~3割(700人~1,000人)選択されている。
    本学では「小盛」の需要が元より一定存在しており、食べ切りのために「小盛」の提供を継続したいと考える。

参考.昨年度からの食べ残し等の推移提供総数に対するごはん量別の割合

5)学生ボランティアアンケート

本プロジェクトに参加した感想や学んだこと、プロジェクトへの要望を把握するためにアンケート調査を実施した。
実施:2024年12月1日~1月15日

Q1.あなたが昼食に学生食堂を利用する頻度を教えてください。

  • Q1.あなたが昼食に学生食堂を利用する頻度を教えてください。
  • 考察
    食堂をよく利用する学生は見られない。

Q2.このプロジェクト参加以前において、あなたは「食品ロス」という言葉とその意味を知っていましたか?

Q2.このプロジェクト参加以前において、あなたは「食品ロス」という言葉とその意味を知っていましたか?

考察
言葉も意味も知っていた学生が多い。

Q3.このプロジェクトに参加した理由を教えてください。

Q3.このプロジェクトに参加した理由を教えてください。

考察
「何となく面白そうだから」や「農業(水耕栽培)に興味があったため」という理由で参加した学生が多い。

Q4.このプロジェクトに参加してどのくらい満足していますか。

Q4.このプロジェクトに参加してどのくらい満足していますか。

考察
プロジェクトに参加して満足している学生が多い。

Q5.このプロジェクトに参加して印象に残ったこと、自身の気付き、感想をお聞かせください。

  • 野菜が育っていく過程をみるのが楽しかった。
  • 成長している(野菜の)様子を食堂に来て見ることが楽しかった。
  • 食品廃棄をむだにしない方法があることを学べた。
  • 廃棄物が肥料になるので、すごくエコだと思った。
  • 食物の大切さ、また食べ残しや廃棄物がまた新たに生まれ変わることに感動した。
  • 土以外でも水と肥料で野菜が作れることに感動しました。どの野菜もしっかり育ってくれて嬉しかったです。
  • 水耕栽培はもっと大がかりなものだと思っていたが、自分たちでも取り組めることを知れた。
  • 水耕栽培でじゃがいもが育つと思っていなくてびっくりした。
  • 水耕栽培で様々な野菜を育てることに対して、育った野菜を実際自分が食べていることにとても満足感を得ている。とても参加していて楽しいです。
  • 一般的な外での栽培と水耕栽培で植物の成長に差がないことに驚きました。
  • 食べ残したものが肥料になること。
  • 身近な関わりであっても、食品ロスに関連して行動できることを知った。
  • 食品廃棄物を捨てずに肥料として使っていること。食べ物が捨てられている現状(ものすごくもったいない。)
  • 今までは食品ロスというものがあまり身近なものではなかったが、プロジェクトに参加して自分にもできることがあると知ることができた。
  • 食べ残しが肥料になっていること。

考察
水耕栽培がとても印象に残っている学生が多く、野菜を育てる中で食べ物の大切さや食物残渣(食べ残し等)の活用について考えることができている。
また、身近なことで十分に食品ロス削減に貢献できることが理解されている。

Q6.このプロジェクトを通して学んだこと教えてください。

Q6.このプロジェクトを通して学んだこと教えてください。

考察
植物栽培を通した感受性の育みが最も多いが、食べ物の大切さや食品ロスについてもプロジェクトを通して学ぶことができている。

Q7.このプロジェクトへの参加以前は、「食品ロス」についてどのように考えていましたか?

Q7.このプロジェクトへの参加以前は、「食品ロス」についてどのように考えていましたか?

考察
「もったいない」と思わない学生はおらず、「ややもったいない」と思う学生が62.5%で、次いで「とてももったいない」と思う学生が37.5%である。

Q8.このプロジェクトへの参加以後は、「食品ロス」についてどのように考えますか?

Q8.このプロジェクトへの参加以後は、「食品ロス」についてどのように考えますか?

考察
プロジェクト参加により食品ロスに対する意識が育まれ、「とてももったいない」と思う学生が参加前の37.5%から参加後は81.3%まで上昇した。

Q9.また、このようなプロジェクトに参加したいと思いますか?

Q9.また、このようなプロジェクトに参加したいと思いますか?

考察
プロジェクトに参加した学生全員がまた「参加したい」または「時間があえば参加したい」と回答しており、本プロジェクトが食品ロスについて考える有効な手段であったと思われる。

プロジェクトの波及効果

1)講義とのコラボレーション

藍野大学の科目「環境と生活」とコラボして、科目の中で学ぶSDGs、食糧問題に貢献すべく取り組む本プロジェクトを受講生が見学・体験。

見学の様子
プロジェクトを見学・体験することで問題に対する関心が深められた。

2)企業等による見学

  • カメイ株式会社(本社:宮城県仙台市)・ミツモト商事株式会社(東京都国立市)
  • 福岡酸素株式会社(福岡県久留米市)
  • 関西SDGsプラットフォーム 食品ロス削減分科会

見学の様子
どの企業も、循環サイクル(食品廃棄物由来の液体肥料を活用し、野菜を育て、学生食堂に還元)に注目されていた。
他の企業や大学に広めたいとの意見もあった。実際にミツモト商事株式会社からJR九州ファーム株式会社に本学事業を紹介し、興味を持たれていたとのこと。

3)他大学の学生の見学

学生食堂の食品ロス削減について研究しているため本学に見学に来られた。関東では取り組んでいる大学はあるが、関西では見かけないとのこと。社会問題である食品ロス削減に対し、多くの大学で取り組むことを望まれていた。

4)オープンキャンパスでの紹介

オープンキャンパスにお越しになった高校生・保護者に学生食堂と共に見学・紹介し、大好評である。

見学の様子
社会や学校でSDGsが浸透しており、興味・関心が高いことが伺える。

5)行政からの啓発活動のご依頼

  • 大阪府主催「令和5年度食品ロス削減事例紹介セミナー」での事例発表
  • 茨木市主催「いばらき環境フェア2023」での食品ロス啓発活動
    クイズを通して茨木市民に対し食品ロス削減を啓発

参加した結果
事例発表については、社員食堂の食品廃棄物でお困りの企業様から自社で食品廃棄を削減するにあたり参考になったとのお言葉をいただいた。
また、茨木市イベントでの食品ロス啓発活動は子供たちを中心にクイズを通して食品ロスについて学ぶ場を形成できた。「もったいない」という言葉が多々聞かれ有意義であった。

6)取り組みの取材

  • 大阪農業時報(発行所:大阪府農業会議) 2024年1月1日号に掲載
  • 株式会社LOHASTYLEのWEBメディア 「LIVIKA」に掲載