本研究科では健康科学に関する深い探求心と洞察力を備え、高齢化社会における医療施設や地域社会の多様なニーズに対応できるよう、科学的根拠に基づく高度な知識・技術を身に付け、当該分野の指導的立場として活躍できる人材を養成し、その成果を地域社会や教育に還元できる人材を育成することを教育目的とする。
健康科学に関わる諸問題に対して、スポーツ科学、身体構造学、認知科学等の観点から健康増進を総合的かつ多角的に捉え、国や地域における健康寿命延伸事業の推進に寄与することを念頭においた新たな健康科学研究を自律的に行っていく教育・研究者を養成する。
健康寿命の延伸を推進するための国・地域の施策とその現状を理解するとともに、総合的・多角的に健康増進を理解したうえで、身体面と認知機能面の両面から事業における問題を科学的・分析的に捉え、国や地域での事業推進に寄与することを前提として、検証結果をもとにした新たな問題解決方法を提案できる人材。かつ、倫理的に物事にあたることができ、優れたリーダーシップのもとで後進育成にあたれる教育・研究者を養成するために必要な科目を以下のように配置する。
解剖・生理・運動・栄養学、スポーツ科学、認知科学・心理学といった基盤的知識を補強し、大学院での学びを経て、国および地域の現状を理解し、健康寿命延伸に向けた科学的根拠に基づく発展的な問題解決方法の提案を通して健康増進事業の推進に寄与できる人材を養成するにあたり、以下のような素養を持つ学生の入学を期待する。
修士(健康科学) Master's Degree(Health Science) 略称M.HSc
本研究科は1 専攻(健康科学専攻)、2 領域(認知健康科学領域・身体健康科学領域)で構成し、骨・神経・筋の解剖・生理学、運動学、栄養学のみならず、スポーツ科学、認知科学 ・心理学等の観点から幅広い知識を持ち、健康増進を総合的かつ多角的に捉える知識・技能・態度を身につけ、健康づくり・生涯スポーツの実践と継続に必要な基本的、応用的知識と事例を学習することができます。さらに、国内外の実践的活動から課題解決につながる方策について解説するなど学際領域としての健康科学の発展を推進させる教育・研究体制をとっています。また2 領域から専門的かつ総合的に取り組むことを特色としておりますが、教育課程の編成においても、その取り組みが可能なように科目を体系的に配置しています。2 領域およびその学際領域に関連する分野の基礎的要素を涵養する科目を配置し、各領域に関する高度な専門的知識および技術を習得できるよう配慮しております。
専門領域に関わらず、共通して健康科学の研究を進める上で必要な知識を学ぶため、「ヘルスプロモーション特論」を、そして研究を始める上で研究倫理と公正な研究に関する基礎を学ぶため「研究倫理学特論」を必須とし、1年次配当にしております。さらに研究テーマや研究目的の設定の仕方、研究フレームの構築方法、適切な研究方法、データ分析の方法など、自律的に研究を実施していく方法を学ぶために「研究方法学特論」を、各専門領域の実践の場において、各職種が関わる対象者への教育的な指導や組織のリーダーとしての新人教育方法の基礎を学ぶために「教育方法学特論」を必須とし、これらの科目も1年次配当としています。
また多様化が進む保健・医療・福祉分野において、社会のニーズに対応しうる専門領域の知識、技術の学習機会を提供するため、共通選択科目として「保健医療福祉システム学特論」を設け、さらに将来、養成校などの教育職に就くこと並びに組織リーダーとして新人教育に携わることを視野に、現場教育および養成校が抱える問題点に対応できる能力を育成するため、「臨床教育学特論」の共通選択科目を設けています。その他の共通科目においても、研究のスキルの基本、専門職として身につけておいてほしい知識・教養として配置し、選択科目としています。すなわち、栄養や服薬状況のデータから健康増進を考える「栄養薬理学特論」、こころの問題を抱えた人を理解し援助するための「臨床心理学特論」、脳機能の問題を理解するための「認知科学特論」、研究機器の使用方法やデータの解釈について学ぶ「生体計測学特論」、データの処理に必要な「医療統計学特論」を配置しています。
日本では超高齢化や生活習慣病の若年化などの課題が表面化しています。現代社会におけるヘルスプロモーションの理念を理解し、脳科学、神経・筋、呼吸循環、代謝機能系の知識を基礎に健康づくり・生涯スポーツの実践と継続に必要な基本的、応用的知識と事例を学習し、国内外の実践的活動から課題解決につながる方策について追究します。これは本研究科の設置の趣旨を具現化した科目であり、必須のコア科目として位置付けております。
研究に従事する人々は、研究や研究発表を社会的・科学的・倫理的に適切な形で行なう責任があります。特に、健康科学の研究では、実験・質問紙調査・フィールドワーク・聞き取り調査など様々な手法で研究が行なわれるため、多様な倫理的問題に対処しなければなりません。しかしながら、これから研究を始める方にとって、研究倫理と公正な研究に関する基礎をしっかりと身に付け、それぞれの研究手法に応じた倫理的問題とその問題への対処方法を理解する必要があります。この科目は、研究を始める上でなくてはならないものと考え、必須科目として配置しております。
本研究科では「優れた指導能力と研究能力を有する教育・研究者の養成」を挙げています。各専門領域の実践の場において、各職種が関わる対象者への教育的な指導や組織のリーダーとしての新人教育方法の基礎を学ぶために、まずは教育方法学に関する学問的基礎を身につける必要があり、必須科目として配置しております。
1年次前期の各領域の「特論Ⅰ・Ⅱ」、1 年次後期の各領域の「演習Ⅰ・Ⅱ」ならびに2年次通年の「健康科学特別研究」については、同一の専任教員の指導を受けることを原則としています。2年間の系統的な学びを通じて、身体健康科学領域、認知健康科学領域の各専門領域の研究遂行能力を養成します。
ただし、1年次前期の「特論Ⅰ・Ⅱ」 「特論演習Ⅰ・Ⅱ」に関しては、指導を受ける専任教員の科目を受講することは原則としていますが、健康増進を多角的に捉えるため、本研究科では「特論Ⅰ・Ⅱ」に関しては、領域を超えて受講するカリキュラムとしています。例えば、認知健康科学Ⅰ領域を専攻した場合、1年次前期に「認知健康科学特論 」、1年次後期に「認知健康科学特論演習Ⅰ」を受講することは原則ですが、修了要件を満たすためには1年次あるいは2年次前期に「認知健康科学特論Ⅱ」「身体健康科学特論 」「身体健康科学特論Ⅱ」の中から2科目を選択し、受講しなければなりません。
認知健康科学領域においては、認知科学と健康科学を融合させた実践的な学問であり、「Ⅰ」と「Ⅱ」を設けています。
「Ⅰ」では、精神認知機能に焦点を当てながら人間の認知メカニズムを探り、高次脳機能障害や精神疾患・障害を持つ対象者に対する評価、問題点の把握、リハビリテーションの内容について特論、演習および健康科学特別研究を配置しています。
「Ⅱ」では、生活習慣病や精神疾患の地域社会における問題、およびその対策法としての運動・身体活動の重要性を理解する上で必要な運動療法・処方、介護予防などをキーワードとし、地域における健康関連の諸問題の解決策としての運動・身体活動を総合的にとらえる内容について特論、演習および健康科学特別研究を配置しています。
身体健康科学領域においても、「Ⅰ」と「Ⅱ」を設けています。
「Ⅰ」では、健康な生活を営むために必要となるスポーツ科学の最新の知見と、廃用予防や生活習慣病の予防に必要なスポーツ科学の理論を学修する内容について特論、演習および健康科学特別研究を配置しています。
「Ⅱ」では、呼吸・代謝障害、生活習慣病の予防だけではなく、呼吸・代謝障害、生活習慣病に併存する運動器障害を有する者の体力・身体活動を理解し、科学的根拠に基づいた適切な運動処方の検討を行なう内容について特論、演習および健康科学特別研究を配置しています。
健康科学特別研究は、共通科目及び専門科目で修得した知識と技術を活用し、各自の研究課題を科学的に探求するもので、2年通年で研究を行います。上記の演習と健康科学特別研究をあわせて、研究計画立案に関する適切な指導を行うとともに、グループおよび個人対面による実験・研究進行に関する議論を通じて、修士論文の完成に至ります。
科目 区分 |
授業科目の名称 | 配当年次 | 単位数 | 授業形態 | |||||
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必修 | 選択 | 自由 | 講義 | 演習 | 実験 実習 |
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共通 科目 |
ヘルスプロモーション特論 | 1前 | 2 | 〇 | |||||
研究倫理学特論 | 1前 | 2 | 〇 | ||||||
保健医療福祉システム学特論 | 1後・2後 | 2 | 〇 | ||||||
栄養薬理学特論 | 1前・2前 | 2 | 〇 | ||||||
医療統計学特論 | 1前・2前 | 2 | 〇 | ||||||
認知科学特論 | 1前・2前 | 2 | 〇 | ||||||
臨床心理学特論 | 1後・2後 | 2 | 〇 | ||||||
生体計測学特論 | 1後 | 2 | 〇 | ||||||
研究方法学特論 | 1前・2前 | 2 | 〇 | ||||||
教育方法学特論 | 1前・2前 | 2 | 〇 | ||||||
臨床教育学特論 | 1後・2後 | 2 | 〇 | ||||||
小計(11科目) | - | 8 | 14 | - | |||||
専門教育科目 | 認知健康科学領域 | 認知健康科学特論Ⅰ | 1前 | 2 | 〇 | ||||
認知健康科学特論Ⅱ | 1前 | 2 | 〇 | ||||||
認知健康科学特論演習Ⅰ | 1後 | 2 | 〇 | ||||||
認知健康科学特論演習Ⅱ | 1後 | 2 | 〇 | ||||||
小計(4科目) | - | 8 | - | ||||||
身体健康科学領域 | 身体健康科学特論Ⅰ | 1前 | 2 | 〇 | |||||
身体健康科学特論Ⅱ | 1前 | 2 | 〇 | ||||||
身体健康科学特論演習Ⅰ | 1後 | 2 | 〇 | ||||||
身体健康科学特論演習Ⅱ | 1後 | 2 | 〇 | ||||||
小計(4科目) | - | 8 | - | ||||||
特別研究 | 健康科学特別研究 | 2通年 | 8 | 〇 | |||||
小計(1科目) | - | 8 | 0 | - | |||||
合計(20科目) | - | 16 | 30 | - |
本大学院に2年以上在籍し、共通科目から14単位以上、専門教育科目から8単位以上
(特別研究に係る領域の特論科目、及び演習科目を必ず含むこと)、特別研究8単位の計30単位
以上を修得し修士論文の審査と公開研究発表会の審査に合格する必要がある。
私たちの健康は身体機能面だけではなく、認知機能面や社会面(社会参加など)も含めた視点が大切です。そこで本研究科は1専攻(健康科学専攻)、2領域(認知健康科学領域・身体健康科学領域)で構成されていますが、健康増進を多角的に捉えるため、「特論Ⅰ・Ⅱ」に関しては、領域をまたいで受講するカリキュラムとなっています。各専門領域だけではなく、健康増進を総合的かつ多角的に捉える知識・技能・態度を身につけ、健康づくり・生涯スポーツの実践と継続に必要な基本的、応用的知識と事例を学習することができます。
現在、理学療法士・作業療法士の専任教員になるためには、大学あるいは大学院で教育系の科目を4 単位以上履修する必要があります。そこで、将来教育職に就くことを視野に教育系の科目を4 単位(教育方法学特論・臨床教育学特論)設けています。
夜間開講やwebシステム利用など、できるだけ働きながら学べる環境を整えています。授業開始時間は1限18時00分、2限は19時40分であり、また多くの授業で対面だけではなくwebシステムにて受講できるようにしています。ただし、すべての科目ではありませんので、各教員との事前相談が必要です。
就業年限は基本的には2年ですが、就労状況に応じ、2年修業年限を超えて3年間をかけて修了をめざす長期履修制度を利用することが可能です。この場合、入学志望者は出願に先立って、専門領域の担当教員と研究領域と履修計画について充分に相談を行う必要があります。このように修業年限については入学前に相談の上決めますが、1年次が終了した時点で確認し、場合によっては当初の設定を変更することも可能です。
開館時間は、平日は8:30から20:00まで、土曜日は9:00から18:00まで開館しています。蔵書は、和書・洋書で計約81,000冊、製本雑誌の蔵書は和雑誌9,200余、洋雑誌が33,00余、計約12,500冊であり、AV資料も1,400余を備えています。電子ジャーナルについては、和雑誌がメディカルオンライン、洋雑誌がCINAHL Plus with Full Textを購入しています。これらに収録されていない文献についても、積極的に文献の相互利用を行なっています。
基礎研究を希望される方は、指導教員との相談の上、藍野大学中央研究施設を利用することができます。
藍野大学中央研究施設につきましては、https://univ.aino.ac.jp/info/labo/index2.phpをご参照ください。
精神認知機能に焦点を当てながら人間の認知メカニズムを探り、高次脳機能障害や精神疾患・障害を持つ対象者に対する評価、問題点の把握、リハビリテーションの内容について研究します。
教授 五十嵐 朗 |
指導内容 研究キーワード:非侵襲計測法、時系列データ解析、ストレス評価 Research map:https://researchmap.jp/a-ikarashi |
教授 酒井 浩 |
指導内容 研究キーワード:脳・認知科学、神経心理学、高次脳機能障害、認知症予防 Research map:https://researchmap.jp/read0113046 |
生活習慣病や精神疾患の地域社会における問題、およびその対策法としての運動・身体活動の重要性を理解する上で必要な運動療法・処方、介護予防について研究します。
教授 安藤 卓 |
指導内容 研究キーワード:地域理学療法、高齢期リハビリテーション、身体活動、骨粗鬆症、ナッジ理論、高次生活機能 Research map:https://researchmap.jp/s-ando |
准教授 岩村 真樹 |
指導内容 研究キーワード:サルコペニア、フレイル、ダイナぺニア、介護予防、健康増進 Research map:https://researchmap.jp/70622132 |
健康な生活を営むために必要となるスポーツ科学の最新の知見と、廃用予防や生活習慣病の予防に必要なスポーツ科学の理論を学修する内容について研究します。
副学長・教授 後藤 昌弘 |
指導内容 研究キーワード:レジスタンス・トレーニング、筋肥大、筋力、NIRS、ストレッチ Research map:https://researchmap.jp/aino |
教授 寺田 茂 |
指導内容 研究キーワード:筋緊張、筋収縮様式、関節スティフネス Research map:https://researchmap.jp/s-terada.php |
呼吸・代謝障害、生活習慣病の予防だけではなく、呼吸・代謝障害、生活習慣病に併存する運動器障害を有する者の体力・身体活動を理解し、科学的根拠に基づいた適切な運動処方の検討について研究します。
教授 稲盛 修二 |
指導内容 研究キーワード:心臓疾患 体外循環 補助循環 心機能評価 |
副学長・教授 栗原 秀剛 |
指導内容 研究キーワード:腎臓学,細胞生物学,解剖学,フレイル Research map:https://researchmap.jp/read0064826 |
准教授 森田 恵美子 |
指導内容 研究キーワード:腸内細菌叢、予防理学療法,身体活動量、がん |
教授 山科 吉弘 |
指導内容 研究キーワード:呼吸理学療法 予防理学療法,呼吸筋力,咳嗽,水中運動 Research map:https://researchmap.jp/read0154456 |