Column
2026.08.20
心と身体の健康をデザインする!これからの社会で求められる「ウェルビーイング」
「健康でいることは大切」とよく聞きますが、健康とは病気ではないことだけを指すのでしょうか。
毎日好きなことに取り組めること、安心して人と関われること、自分らしく生活できること。こうした状態も、私たちが豊かに暮らすためには欠かせませんね。
近年、こうした心と身体、さらに人とのつながりまで含めた豊かな状態を表す言葉として、「ウェルビーイング(Well-being)」が注目されています。
学校や企業、スポーツ、医療など、さまざまな分野で使われるようになったこの言葉。 「健康と何が違うの?」「なぜ今こんなに話題なの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
この記事では、ウェルビーイングの意味や注目される背景をわかりやすく解説するとともに、心理学や健康科学ではどのように人の幸せを考えているのかを紹介します。
1.ウェルビーイングとは?なぜ今注目されているのか
「健康」と聞くと、病気をしないことや体調が良いことを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし近年は、それだけではなく、心が満たされ、人とのつながりを感じながら自分らしく暮らせることまで含めて健康を考えるようになっています。
その考え方が、ウェルビーイングです。
この視点は、医療やスポーツ、心理学、社会科学など、さまざまな分野で重視されています。
まずは、ウェルビーイングとは何か、そして今なぜ注目されているのかを見ていきましょう。
1.1 ウェルビーイングとは
ウェルビーイング(Well-being)とは、「心も身体も、そして人とのつながりも含めて、より良い状態で暮らせていること」を表す言葉です。
世界保健機関(WHO)は1946年のWHO憲章で、健康を「病気ではないこと」だけではなく、「身体的・精神的・社会的に良好な状態」と定義しました。この考え方は、現在でも世界中で健康を考える基本となっています。
つまり、熱がない、けがをしていないというだけでは、本当の意味で健康とはいえない という考え方です。
例えば、次のような状態もウェルビーイングを支える大切な要素です。
- 好きなことに夢中になれる
- 家族や友人とのつながりを感じられる
- 将来に希望を持って毎日を過ごせる
この考え方は医療だけにとどまりません。教育やスポーツ、福祉、地域づくりなど、さまざまな分野で「一人ひとりがより良く生きるためにどう支えるか」を考える土台になっています。
参考:
公益社団法人日本WHO協会「WHO憲章」
https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/
文部科学省 ウェルビーイングの向上について
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000214299.pdf
1.2 ウェルビーイングという言葉が広まった理由
ウェルビーイングという考え方が広く知られるようになった背景には、社会の変化があります。
かつては、「長生きすること」や「病気を治すこと」が健康の中心と考えられていました。
しかし近年は、平均寿命だけでなく、健康寿命を延ばすことや、一人ひとりが自分らしく暮らせることにも関心が集まっています。
こうした考え方は、2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)にも反映されており、目標3には「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-Being)」が掲げられました。
教育や企業、自治体でも、心や身体の健康だけでなく、人とのつながりや働きやすさまで含めて考える取り組みが広がっています。
ウェルビーイングは医療だけの言葉ではなく、「誰もがより良く生きられる社会」を考えるための共通のキーワードとして注目されるようになったのです。
参考:
外務省 SDGsとは?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf
1.3 なぜ今ウェルビーイングが注目されているのか
ウェルビーイングが注目されるようになったのは、私たちの暮らしや価値観が大きく変化しているためです。
例えば、SNSでは他人と自分を比べて落ち込んだり、将来に不安を感じたりすることがあります。人と自分を比べる機会が増えたことで、心の状態や幸福感にも影響が及ぶことがあります。
また、現代では、病気ではないことだけでなく、「自分らしく毎日を過ごせているか」も健康を考えるうえで大切な視点になりました。
こうした背景から、健康は病気を防ぐだけではなく、心や人とのつながり、毎日の暮らしまで含めて考えることが重視されています。
その考え方を表すキーワードとして、ウェルビーイングへの関心が高まっているのです。
2.心理学・健康科学から考えるウェルビーイング
同じ出来事でも、前向きに受け止められる人もいれば、不安を感じる人もいます。 また、適度な運動で気分が軽くなった経験がある人もいるでしょう。
こうした心と身体の関係を科学的に理解し、人がより良く生きるための方法を考えるのが、心理学や健康科学です。
ここからは、ウェルビーイングを支える考え方を3つの視点から紹介します。
2.1 心の健康だけではウェルビーイングにならない
ウェルビーイングは、「心が元気なら十分」という考え方ではありません。
勉強や部活動が順調でも睡眠不足が続けば集中しにくくなりますし、反対に体調は良くても大きな不安を抱えていると、毎日を前向きに過ごすことは難しいでしょう。
心と身体はお互いに影響し合っています。だからこそ健康科学では、どちらか一方だけではなく、両方のバランスを大切に考えます。
2.2 身体・心・社会はつながっている
私たちは、一人だけで生活しているわけではありません。
家族や友人との会話、学校での人間関係、地域とのつながりなど、周囲の環境も心や身体の健康に影響します。
部活動で体を動かした後に気分がすっきりしたり、誰かと話して安心したりした経験はありませんか。
このように、身体・心・社会は互いにつながり合いながらウェルビーイングにつながっています。
そのため健康科学では、医学や心理学だけでなく、社会との関わりも含めて人を理解する視点を学びます。
2.3 QOLとの違い
ウェルビーイングと似た言葉に「QOL(Quality of Life)」があります。 QOLは「生活の質」を表す言葉で、健康状態や暮らしやすさなど、日々の生活に着目した考え方です。
一方、ウェルビーイングは、生活の質に加えて、「自分らしく生きられているか」「人生に満足できているか」といった心の充実や社会とのつながりも含めて考えます。
つまり、QOLは「毎日の暮らし」に、ウェルビーイングは「人生全体」に目を向けた考え方といえるでしょう。
3.ウェルビーイングを学ぶと「人を健康にする方法」が見えてくる
ウェルビーイングについて学ぶことは、「健康とは何か」をさまざまな視点から考えられるようになることでもあります。
例えば、同じ運動指導でも、全員に同じ方法が合うとは限りません。
「運動が苦手」「忙しくて続けられない」といった理由は人それぞれ。
だからこそ、その人の身体の状態だけでなく、気持ちや生活環境にも目を向けながら考える力が求められます。
こうした考え方は、スポーツやヘルスケアだけでなく、教育や地域づくり、企業での健康づくりなど、人と関わるさまざまな場面で生かされています。
医学や心理学、社会科学をあわせて学ぶことで、人を一つの側面だけで判断せず、「身体・心・関係」のつながりを踏まえて支援する力が身についていくでしょう。
4.まとめ
ウェルビーイングとは、身体や心、人とのつながりが調和し、自分らしく充実した毎日を送れる状態を目指す考え方です。
病気ではないことだけを健康とするのではなく、一人ひとりがより良く生きるための視点として、医療や教育、スポーツなど幅広い分野で重視されています。
超高齢社会を迎えた今は、健康寿命の延伸やメンタルヘルス、地域とのつながりなど、健康を取り巻く課題も多様になっています。
こうした時代だからこそ、医学や心理学、トレーニング科学、社会科学を組み合わせて人を支えるウェルビーイングの考え方は、ますます重要になっていくでしょう。
藍野大学医療保健学部健康科学科では、こうした社会の変化を見据え、医学を基盤に、心理学・トレーニング科学・社会科学を総合的に学びます。
「身体づくり」「心づくり」「関係づくり」を大切にしながら、人と地域社会のウェルビーイングを支える力を育むことが特長です。
卒業後は、トレーニングジムやヘルスケア関連企業、地方自治体など、多様な分野で活躍できます。病気を治療するだけではなく、健康づくりや予防、地域全体の健康づくりに関わる仕事が広がるなか、人を総合的に支える力が求められています。
「健康について幅広く学びたい」「人の役に立つ仕事がしたい」と考えているなら、ウェルビーイングという考え方が進路を考えるヒントになるはずです。
まずはオープンキャンパスで、どのような学びが待っているのかを体感してみませんか。人と社会の健康を支える学びを知ることで、自分らしい進路が見えてくるかもしれません。
